社長の賃貸マンションを法人契約にして節税しましょう。
法人が、社長の住んでいる賃貸マンションの契約者になって社長に貸す場合、社長から毎月家賃を一定額もらっていれば、家賃を会社の経費にすることができます。
ただし、豪華ではないという条件つきです。
また、小規模な住宅か、それ以外かで、社長が支払うべき家賃の計算が変わります。
1 対象となる住宅
まずは豪華すぎないこと。
豪華であるかどうかは、曖昧なところではありますが、国税庁から一定の基準が示されています。
・床面積が240㎡を超える住宅
・取得価格、支払い診療、内外装の状況等いろいろ勘案
・プール等の設備や、社長の個人的な趣味嗜好が著しく反映されている
という感じで説明されています。
実際の線引は、床面積以外は難しいですね。
2 小規模な住宅
小規模な住宅とは、法定耐用年数が30年以下の建物の場合には床面積が132平方メートル以下である住宅、法定耐用年数が30年を超える建物の場合には床面積が99平方メートル以下(区分所有の建物は共用部分の床面積をあん分し、専用部分の床面積に加えたところで判定します。)である住宅をいいます。
国税庁 タックスアンサー
面積はわかるとして、法定耐用年数とは?
法定耐用年数は、建物の構造や用途で変わります。
大体、何年持つかってことなんですが、所得税や法人税を計算する際の経費を計算するときなどに使います。
【30年以下の建物】
・木骨モルタルの住宅 20年
・金属造・主要な鉄骨の肉厚が3mm以下 19年
・木造・合成樹脂造 22年
・金属造、主要な鉄骨の肉厚が3〜4mm以下 27年
【30年超の建物】
・金属造、主要な鉄骨の肉厚が4mm超 34年
・鉄骨鉄筋コンクリート造 47年
こんな感じです。
結論、広すぎず、頑丈すぎないお家です。
3 小規模な住宅の場合の計算
次の①から③までの合計額が賃貸料相当額になります。
国税庁 タックスアンサー
① (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
② 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/(3.3平方メートル))
③ (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%
実際計算すると結構低い金額になります。
下記は、実際に熊本市中央区の新築マンションの例です。
① 8,286,728円(67.72㎡)✕0.2%=16,573円
② 12円✕(67.72㎡÷3.3㎡)=246円
③ 329,963円✕0.22%=725円
合計17,544円です。
このマンションの実際の賃借料は110,000円です。
社長が個人で家賃を払ったら経費にはなりません。
法人が社宅として契約して、社長に貸せば下記のようになります。
110,000円(支払家賃)-17,544円(社長負担分)=92,456円
なんと92,456円も経費になります。
年間で1,109,472円です。
4 小規模な住宅でない場合の計算
役員に貸与する社宅が小規模住宅に該当しない場合には、その社宅が自社所有の社宅か、他から借り受けた住宅等を役員へ貸与しているのかで、賃貸料相当額の算出方法が異なります。
国税庁 タックスアンサー
① 自社所有の社宅の場合
次のイとロの合計額の12分の1が賃貸料相当額になります。
イ (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×12%
ただし、法定耐用年数が30年を超える建物の場合には12%ではなく、10%を乗じます。
ロ (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×6%
② 他から借り受けた住宅等を貸与する場合
会社が家主に支払う家賃の50%の金額と、上記①で算出した賃貸料相当額とのいずれか多い金額が賃貸料相当額になります。
これをもとに計算します。
建物 40,000,000円 土地 2,000,000円(マンションは持分がすごい少ないので低額です)
熊本でちょっとリッチな3LDKぐらいだとこのぐらいでしょうか?
賃料は駅前のタワーマンションぐらいを想像して300,000円とします。
① 自社所有の社宅の場合
イ 40,000,000円✕10%=4,000,000円
ロ 2,000,000円✕6%=120,000円
(イ+ロ)÷12=343,333円
② 300,000円✕50%=150,000
①>② ∴ 343,333円
結局、会社が支払った家賃以上の金額を社長からもらうことになります。
5 結論
小規模な住宅の場合、かなりの節税になります。
ただし、あくまでも節税していい会社は
① これ以上の事業規模の拡大を望まない
② 潤沢な資金がある
この条件が必須です!
事業規模の拡大を目指す会社は、利益を確保して納税をして、金融機関がお金を喜んで貸してくれる会社にしましょう!
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(投稿者)
徳田貴久税理士事務所
熊本県熊本市中央区大江6丁目20-6-2F
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