経費を増やして赤字にして法人税を納めない、10期繰り返すとどうなるか?|むりやり節税をしない方がいい理由

税金を納めたくない人の気持ちは痛いほどわかります。
ですが、税金に意識が向くあまりに、間違えた節税をしてしまうとどうなるかを検証します。

熊本 税理士 事務所

1 前提条件

資本金1,000,000円の法人を設立し、毎年1,000,000円の利益を10年間続けた場合と、毎年200,000円の赤字を続けた場合で比較します。

【会社設立時の貸借対照表】

借方金額貸方金額
現金1,000,000資本金1,000,000

1,000,000円の資金で法人を設立した場合はこんな感じです。

【利益1,000,000円の損益計算書】

勘定科目金額
税引前当期利益1,000,000
法人税等-300,000
当期純利益700,000

1,000,000円の利益がでるので、概算30%法人税が生じます。

【赤字200,000円の損益計算書】

勘定科目金額
税引前当期利益-200,000
法人税等0
当期純利益-200,000

赤字なので、法人税は生じません。※便宜上、均等割額は考慮していません。

2 利益1,000,000円を10年間続けた場合の貸借対照表

【1期目】

借方金額貸方金額
現金1,700,000資本金1,000,000
繰越利益700,000

1,000,000円の資本金で、利益1,000,000円を出して、法人税300,000円支払います。

1,000,000円-300,000円=700,000円

現金が700,000円増えます。

【2期目】

借方金額貸方金額
現金2,400,000資本金1,000,000
繰越利益1,400,000

1期目と同様に、700,000円増えるので繰越利益(過去の利益の累計)は1,400,000円となります。

【10期目】

借方金額貸方金額
現金8,000,000資本金1,000,000
繰越利益7,000,000

10期繰り返すとこのようになります。

3 赤字200,000円を10期続けた場合の貸借対照表

【1期目】

借方金額貸方金額
現金800,000資本金1,000,000
繰越利益-200,000

赤字なので法人税はありませんが、200,000円の赤字なので現金は200,000円目減りします。

【5期目】

借方金額貸方金額
現金0資本金1,000,000
繰越利益-1,000,000

5期目で現金がなくなります。

【10期目】

借方金額貸方金額
現金0資本金1,000,000
役員借入金1,000,000
繰越利益-2,000,000

赤字続きで金融機関は融資しませんので、役員が追加で資金を投入することになります。

4 比較

利益を繰り返した場合、300,000円/年の税金を納め、10年間では3,000,000円の納税をすることになります。
しかし、現金は7,000,000円増加し、積み上げた繰越利益も7,000,000円となります。
立派な法人です。
金融機関も喜んで融資してくれますし、金利の交渉も可能かもしれません。

一方、赤字を繰り返した場合は、3,000,000円の法人税を免れることができます。
しかし、会社の業績は散々なもので、代表者は追加で1,000,000円を法人に貸し付けています。
業績が悪く、お金がない法人には、金融機関も融資しませんし、日本政策金融公庫など融資が受けられたとしても金利が高くなります。
結果、役員からの借入金と過去の赤字だけが積み上がった無残な法人が出来上がります。

利益を出して、法人税を納めることが、ベストな選択だということが一目瞭然だと思います。

節税は、十分な利益をだして、さらに、これ以上の成長を目標としない法人がすることです。
早期の節税は、法人の業績・資金繰りを悪化させますので、気をつけましょう。

節税はタイミングが大事|間違った節税は会社の成長をとめる

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