スーツ代は経費になるのか?個人事業主・法人・会社役員等で違いがある|必要経費・損金不算入・特定支出控除

個人事業主や一人会社の社長から、スーツ代は経費になりますか?という質問をよく受けます。仕事着としてのスーツは、事業に必要不可欠です。また、職種によっては、ブランディングの為に上質なスーツを着用した方が良い場合もあるでしょう。経費にしたいのは気持ちはすごい良くわかりますが、立場に応じて注意点があります。

個人事業主は事業割合に応じて必要経費にしてもよさそうです。
法人については、経費にするのは難しそうです。
法人では経費にできないけど、社長の所得税は減らせる可能性が少しそうです。

※税理士徳田貴久の個人的な見解です。

熊本 税理士 事務所

1 個人事業主は必要経費にできそう

個人事業主が、経費にできる基準というのは、大雑把にいうと事業収入を得るために必要な経費かどうか?
この一点です。事業関連性といったりします。
職種にもよりますが、仕事上スーツが適した仕事(職業で服装は決まっているわけではありませんが・・・)の場合、事業を行う上でスーツが必要であるといえます。
この場合、経費としても問題はないように思われます。

ただし、注意点があります。
仕事以外にもスーツを利用できるということです。
正直、個人事業主たる者、24時間365日仕事、人に合うのも仕事、パーティーに行くのも仕事の為だ!っていう気持ちもわかりますが、スーツ代を全額経費にするのは難しそうです。

実際にどのように按分するのか?
例えば週1日を休日として6/7日分を経費にするなどです。
明確な区分が必要です。
ちゃんと区分されていればいるほど、良いです。
ただし、記録をとっておくわけにもいかないので、税務調査などで指摘を受ける可能性はあります。

2 法人は経費にできなさそう

なぜ、個人事業主がOKで法人がNG?って言いたくなると思います。
答えはスーツは法人の経費ではなくて、社長の経費だからです。


社長は、会社と委任契約を締結しています。
ですので、社長は会社からの役員報酬を得るためにスーツを経費として払っていると考えます。

それを会社が負担した場合、社長の賞与になると想定されます。
ですので、社長には所得税がかかります。
しかも、社長には原則毎月決まった額の報酬しか支払えないので、法人の経費としては認められないことになります。
踏んだり蹴ったりです。

3 社長の経費にできる特定支出控除とは?

結論からいうと、特定支出控除という制度は全く使えません。
極稀に、社長の所得税が減らせることがあります。

社長が会社からもらう役員報酬は、所得税の計算をする上では、「給与所得」という区分に位置づけられます。
いわゆる、給料です。
では、その給料について、どのように利益とするのかというと・・・

給料総額-給与所得控除=給与所得(利益)

国税庁|給与所得控除

給与所得控除とは、給与もらうために必要な経費を概算で計算したものです。
つまり、スーツ代や勉強するための本代など、すでに織り込み済みになっているのです。
だから、スーツ代を経費として追加できないことになります。

では、どのような場合に社長の所得税を減らせるか?
役員報酬を得るために、多額の経費がかかったときです。
要は、スーツ代や本代などが高額の場合です。
具体的には給与所得控除の1/2の額です。

役員報酬が600万円の人で164万円です・・・
そんな人、いるんですかね・・・(笑)
平成30年のデータですが、実際に使った人は1704人でした。
かなりのツワモノですね。

特定支出控除の対象となる経費は、国税庁に具体的なものが挙げられています。

給与所得者が支出する次に掲げる支出のうち一定のものです。
1 一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出(通勤費)
2 勤務する場所を離れて職務を遂行するための直接必要な旅行のために通常必要な支出(職務上の旅費)
3 転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出(転居費)
4 職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出(研修費)
5 職務に直接必要な資格を取得するための支出(資格取得費)
6 単身赴任などの場合で、その者の勤務地又は居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出(帰宅旅費)
7 次に掲げる支出(その支出の額の合計額が65万円を超える場合には、65万円までの支出に限ります。)で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者より証明がされたもの (勤務必要経費)
(1) 書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するものを購入するための費用(図書費)
(2) 制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用(衣服費)
(3) 交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出(交際費等)

国税庁より

スーツ代に限りませんが、ほとんど使われていない制度です。

国税庁|給与所得者の特定支出控除


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