その節税間違えているかも?中古車で節税という営業

会社で車を購入する際、節税になるからという理由で中古車を勧められたことはありませんか?

実際は、節税になっていなかったり、損しているかもしれません。

そこで、どのような方法で節税になると言われているのか?

また、実際は節税になっていないケースなどを再確認します。

1 減価償却

車を購入した場合、買った時に全額が経費になるわけではありません。

車などの固定資産は、使用や時の経過によって、その価値が減っていくものです。

ですから、その固定資産の使用可能期間(耐用年数)にわたって分割して、その価値の減少分を経費にしていきます。

この経費にする方法を減価償却といいます。

2 車の減価償却

乗用車を購入した場合、下記のようになります。

・500万円の新車を購入した場合

耐用年数 6年

償却率 0.333

改定償却率 0.334

保証率 0.09911(495,550円)

期間減価償却費未償却残高
1年目1,665,0003,335,000
2年目1,110,5552,224,445
3年目740,7401,483,705
4年目495,557988,148
5年目495,557492,591
6年目492,5901

・500万円の中古車(5年落ち)を購入した場合

耐用年数 2年

償却率 1.000

期間減価償却費未償却残高
1年目4,999,9991

3 新車と中古車の減価償却の違い

2の計算で示した通り、新車は6年間で経費にしていきます。

中古車は、1年間で経費にします。

ですので、購入後の初年度に経費になる金額が、新車では1,665,000円、中古車では4,999,999円となります。

差額が3,334,999円ありますので、初年度の法人税は約100万円ほど安くなります。

2年目以降は、新車の減価償却費は減少しますが、継続して経費が発生します。

一方、中古車は0円です。

新車と中古車の減価償却費は、6年後に合計で同額となり、概ね法人税も変わりません。

つまり、中古車購入は、節税ではなく、納税の先延ばしということです。

4 中古車の減価償却が終わって売却した場合

減価償却が終わって経費にならないので、売却して、次の車に乗り換えることを考えるかもしれません。

ですが、これもあまり意味がありません。

なぜなら、車の売却益が発生するからです。

・中古車が減価償却を終えたあとに、400万円で売れた場合

 400万円-1円(未償却残高)=3,999,999円

結局、3,999,999円の売却益が発生して、法人税が課されるのです。

安くしか売れない車を購入して売却益を減らせばいいと考えるかもしれません。

ですが、これは法人税を減らすために、わざわざお金を捨てているのと同じです。

税金を減らすために、価値のない中古車を高額で購入するという、意味のない事になってしまいます。

5 結論

中古車は節税にならないことは、ご理解いただけたと思います。

あえてメリットがあるとすれば、税金を先延ばしすると、手元に残るお金が増え、資金繰り上は助かります。

修繕費などの追加出費が生じないのが前提ですが・・・

(参考)

国税庁 減価償却のあらまし

(投稿者)

税理士 徳田貴久

徳田貴久税理士事務所

熊本県熊本市中央区大江6丁目20-6-2F

問い合わせ tokuda@tokudaoffice.com

徳田貴久税理士事務所

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