経営セーフティー共済(倒産防止共済)で税金がいくら少なくなり、資金がいくら減るのか?
期末に240万円の資金で節税した場合でシミュレーションしました。
1. 倒産防止共済を期末に一年分一括払いした場合
倒産防止共済制度は、得意先が倒産した場合に支払った金額の10倍までお金を貸してくれる制度です。
なぜ、節税になるかというと掛け金が全額経費になるからです。
掛け金は、解約した場合、12ヶ月以上支払えば80%、40ヶ月以上支払えば全額が戻ってきます。
不測の事態に備えつつも、積み立てながら節税もできる王道の制度です。
この倒産防止共済は、一年分を一括払いすることができます。
本来は、一年分先払いになるので翌年の経費にしなければいけません。
ですが、毎年支払ったときの経費にすれば、支払ったときに経費にしていいことになっています。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5380.htm
これを利用した場合、期末に最大240万円の経費を作ることができます。
2. 減った税金
800万円の利益があった場合、240万円の経費を作ると利益は560万円に減ります。
●800万円に対する税金
法人税 8,000,000✕15%=1,200,000
地方法人税 1,200,000✕10.3%=123,600
法人県民税 1,200,000✕1.8%=21,600
法人事業税 4,000,000✕3.5%+4,000,000✕5.3%=352,000
法人市民税 1,200,000✕8.4%=100,800
合計 1,798,000(22.475%)
●560万円に対する税金
法人税 5,600,000✕15%=840,000
地方法人税 840,000✕10.3%=86,500
法人県民税 840,000✕1.8%=15,100
法人事業税 4,000,000✕3.5%+1,600,000✕5.3%=224,800
法人市民税 840,000✕8.4%=70,500
合計 1,236,900(22.0875%)
●減った税金
1,798,000-1,236,900=561,100
3. 減った資金
●節税しなかった場合
納税額 1,798,000
●節税した場合
納税額 1,236,900
倒産防止共済 2,400,000
合計 3,636,900
●減った資金の差額
1,838,900
つまり、節税した場合は、税金が561,100円減りますが、会社からなくなるお金は1,838,900円増えています。
4. 結論
800万円の利益が出た場合に、240万円を節税に当ててしまうと、
8,000,000-3,636,900=4,363,100
436万円しか会社に資金が残りません。
節税は慎重にしましょう。
節税した方がいいのは、①事業を拡大しない、②潤沢に資金がある、の要件を満たす会社です。
(参考)
(投稿者)
徳田貴久税理士事務所
熊本県熊本市中央区大江6丁目20-6-2F
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