相続の生前対策で最も大事なこと

2015年に相続税法の改正があり、相続税の申告をすべき人が大幅に増加しました。

そのため、都会に一軒家をもっていて、プラスちょっとした貯蓄や金融資産をもっているだけで相続税の対象となる事例が増えました。

そこで、相続の生前対策として最も重要なことを解説します。

1 相続税の基礎控除

2015年から相続税の基礎控除が減額されました。

基礎控除とは、相続税を計算するときに、相続財産から控除できる金額です。

相続財産-基礎控除>0円の場合に相続税の申告義務が生し、課税されます。

要は、相続税の非課税枠です。

・2015年の改正前

5,000万円 + 500万円 ✕ 法定相続人の数

・2015年以降

3,000万円 + 300万円 ✕ 法定相続人の数

改正で基礎控除が60%に減額されました。

・夫婦と子供2人の場合

5,000万円 + 500万円 ✕ 3人 = 6,500万円(改正前)

3,000万円 + 300万円 ✕ 3人 = 3,900万円(改正後)

この金額を見ても分かる通り、相続税の対象者が大幅に増えました。

2 相続が争続にならないために

相続が争いになることをもじって「争続」とよく言われます。

多くの人は、血を分けた親族で争いたくはないはずです。

その様にならたいために最も重要なのは、相続人に不満がないようにすることです。

当たり前のことですが、これが本当に難しいのです。

民法に定める取り分の通り分割すれば不満がでないとは限りません。

故人の生前にお世話した人、何もしなかった人、均等にと言われても不満を持ちます。

では、どうすればいいか?

生前に、ちゃんと話し合い、準備する。

そして、関係性の度合いに応じて、どの財産を誰に託すかを決めることです。

3 公正証書遺言を準備する

相続する財産が決まったら、公証役場で公正証書遺言を作成します。

自筆の遺言も認められていますが、書き間違い等により無効になる場合もありますので、おすすめしません。

公正証書遺言は、公証役場にいる公証人に、法律に基づいたて作ってもらった遺言書です。

生前に話し合い、公正証書遺言を準備すれば、相続人も文句の言いようがありません。

4 納税の準備が大切

話し合った結果、それぞれの相続人に託す財産が決定しました。

それぞれも納得はしていますが、もう一点、注意すべきことがあります。

それは、相続税の納税資金の準備です。

例えば、相続人のうち不動産のみを相続した人がいるとします。

相続人本人は、現金の貯蓄が殆どありません。

その場合、不動産を売却せざるを得なくなります。

代々引き継いだ土地などを手放すのは、寂しいものです。

ですから、生前に相続税の納税資金の準備まで考えておくのがベストです。

現金をある程度、それぞれの相続人に準備したり、生命保険を利用した納税対策などが有効です。

5 おわりに

円満な相続は、生前に話し合い、遺言を書き、納税にも手抜かりなし。

これにつきます。

(参考)

相続税がかかる場合

(投稿者)

税理士 徳田貴久

徳田貴久税理士事務所

熊本県熊本市中央区大江6丁目20-6-2F

問い合わせ tokuda@tokudaoffice.com

徳田貴久税理士事務所
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